気づけば6月も後半。
新日本プロレスファンにとって、待ちに待ったG1の夏が迫って来ています。
エントリーされるレスラーも発表されましたが、皆さんの推しは無事入っていましたか?
ちなみに私の推しは、、、
まあそんな事はさておき、今回は新日本プロレスの数多くのレスラーの中から、ひときわ不穏なあの男について、妄想ストーリーをお届けしたいと思います。
一言一句読みもらす事無く、じっくりお楽しみ下さい。
そう、G1のGは…!!
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6月末日の都内某所、彼はプライベートジムで黙々と練習に励んでいた。
ここ数日、彼についてのあらぬ噂も流れたが、そんな事はどこ吹く風。バーベルスクワットに勤しむ彼の足元には、髭から滴り落ちた汗が小さな水たまりを作っている。
これ程までにトレーニングに集中するのは、葉桜の季節に喫したシングルマッチでの敗北が、彼の闘争心を掻き立てている為だと言う事は、想像に難くなかった。
ふうっと一息をつき、バーベルを床に置いた彼に、トレーナーが近づく。
「最近、オーバーワーク気味じゃないですか?年齢の事も考えながらトレーニングしないと。」
確かに正論だ。しかしG1の開幕が迫る中、数年間決勝の舞台に姿を現せていない彼にとって、そんな事を気にしていられる場合ではない。修行の時間は限られているのだ。
助言を聞いてないかの如く、彼はトレーナーにミット打ちのパートナーを申し込んだ。
やれやれと言わんばかりの表情を浮かべながら、トレーナーはミットを手に取る。それからしばらくの間、ジムにはミットの心地よい音が鳴り響いていた。
練習を終えてシャワーを浴び、ロッカールームで着替えをしていると、トレーナーが入ってきた。彼に近づくと、何か言いたげにおちょこをクイクイっとやるジェスチャーをしている。しかし彼は無言で首を横に振った。
「釣れないですねえ、何か予定があるんですか?」
不機嫌そうなトレーナーに対し、彼は帽子を被りながら「狩りだよ、狩り」とイタズラっぽく笑ってみせた。
数秒間の沈黙の後、意味を理解したようだ。「山にでも行くんですか?頑張ってくださいね」と微笑むトレーナーを残し、彼はロッカールームを後にした。
ジムの外に出ると、街は夕闇に包まれ、梅雨特有の雨の匂いがあたりに立ち込めていた。鼻腔をくすぐるその匂いに、彼は思わずしかめっ面を浮かべる。雨は嫌いだ。雨を避けるように足速に駐車場へ向かい、車に乗り込んだ。
帰路につく途中、彼の頭にはある男の顔が思い浮かんでいた。端正な顔立ちに髭を蓄えて不敵な笑み浮かべるあの男、そうジェイ・ホワイト。G1が開幕する7.6ダラス大会で同じリングに立つ事を考えると、彼は思わず武者震いをしてしまった。
しばらくの間、試合の展開予想にふけっていた彼だが、気づいたら見知らぬ道に迷い込んでいた。どうやら帰るルートを間違えてしまったらしい。まあいい、ルートを外れるのは嫌いではない。そう呟くと、郊外を抜けて山に向けて車を走らせた。
そして迎えた7.6ダラス大会、彼は花道に立っていた。歓声と罵声に包まれる会場内、ゆっくりと歩き出す彼の隣には、トレードマークとも言うべき"棒"を携えた、最高のパートナーがいた。
花道の脇の観客から「Samurai!!」と言う声が飛び、彼は吹き出しそうになった笑いを必死に堪える。一方、隣のパートナーは誇らしげな表情を浮かべていた。
入場を終えると、ジェイと目が合う。不敵な笑みを浮かべるジェイに、彼もまた不敵に笑い返した。
試合はチェーズとYOSHI-HASHIのマッチアップで始まった。組み合おうとするYOSHI-HASHIに対して、チェーズはインサイドワークでペースをつかませない。場内は大ブーイング、彼はエプロンサイドから試合を見守る。
チェーズがジェイにタッチすると、エルボーとスープレックスでYOSHI-HASHIを追撃。グロッキー状態のYOSHI-HASHIはタッチにいこうとするが、レフェリーの目を盗んだ邪道がリングに入り、竹刀で強烈な一撃を食らわせタッチを阻止。罵声が飛ぶ中、彼もエプロンサイドを叩いて声を張り上げた。
大きなダメージを受けたYOSHI-HASHIは、最後の力を振り絞り、ジェイにしゃちほこラリアット。ダウンしたジェイの隙をつき、コーナーに走るYOSHI-HASHI。
ここで遂に彼が動いた。
隠し持っていたメリケンサックを取り出し、YOSHI-HASHIの顔面に強烈なストレート、更に邪道もリングに竹刀を振り回す。もはやこれは試合ではなかった。レフェリーはたまらずバレットクラブ側の反則負けを宣告、場内は罵声に包まれている。
倒れたYOSHI-HASHIを抱える後藤に対し、ジェイがマイクでまくし立てる。攻撃的なワードチョイスに、観客の熱量の上昇を感じる。一通り喋り終えた後、ジェイは彼に近寄りマイクを手渡す。悪の権化とも言うべき彼からどんな言葉が発せられるか、場内の空気もピリッと張り詰めた。マイクを受け取った彼は、敢えて日本語でこう叫ぶ。
「G1のGは、外道のGだ!コノヤロウ!!」
自らの名前を大声で叫んだ彼は、マイクを放り投げて場内を恍惚の表情で見渡した。罵声も怒声も彼の耳には届かない。
ジェイと目を合わせ、不敵に笑い合った。
この男とならどこまでも行ける、彼はそう感じていた。
終劇!!
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如何でしたでしょうか?
私の意図が伝わりましたでしょうか…?
素人ゆえ完璧ではないかと思いますが、2度読み3度読みして頂けると非常に嬉しいです。
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